私はフルートを吹きます。
その私が、フルート以外でやってみたいと思っている楽器がクラシック・ギターです。
その2つの楽器によるデュオ、しかも日本を代表するギター奏者・村治佳織と、30年にわたってウィーン・フィルの首席フルート奏者を務め、2011年に定年退職したヴォルフガング・シュルツの共演とあっては聴かないわけにはいきません。
もっとも、シュルツはドクター・ストップがかかって来日できなくなったらしく、息子であり弟子であり、現在はやはりウィーン・フィルのフルート奏者を務めるマティアス・シュルツが代役となりました。
会場は彩の国さいたま芸術劇場の音楽ホール。以前、レ・ヴァン・フランセの演奏会を聴いたホールです。
私の席は2階バルコニー下手側の比較的前のほうで、ステージを斜め上から見下ろす感じ。譜面台の上が見える位置でした。
開幕はカール・フィリップ・エマヌエル・バッハのハンブルガー・ソナタから。フルートとチェンバロの原曲をフルートとギターにアレンジしたもの。
村治佳織、マティアス・シュルツ共に父親がそれぞれ同じ楽器の奏者、そしてカール・フィリップ・エマヌエルはかのヨハン・セバスチャン・バッハの次男という、2世音楽家による2世音楽家の作品演奏という偶然。
その後、前半プログラムは自然をテーマにした作品ということで、村治佳織の衣装もどことなく森を思わせるものでした。
聞き物だったのが、武満徹の「海へ」でした。アルト・フルートとギターで演奏されるこの曲を、恥ずかしながら私は初めて聴きました。その前に演奏された曲でもフルートの低音とギターの相性がいいなあと思いながら聴いていましたが、アルトとギターの音が実にマッチしていて素晴らしい。
アルトいいなあ、欲しいなあ。
現代曲の多いプログラムで譜面台の上に乗った楽譜がかなり大変なことになっており、演奏前のセットに手間取っていた様子で、シュルツが楽譜を並べながら「チョットマッテ」と日本語で客席に呼びかける場面もありました。
そして後半は趣向を変えて民俗的なプログラム。村治佳織も最近よく着ることが多いという、フラメンコダンサー風の、右半身が女性、左半身が男性という左右でデザインが異なる衣装で登場です。
ピアソラの「タンゴの歴史」やフランセのソナタ、そしてバルトークのルーマニア民族舞曲などを演奏。フランスものでギターというイメージがあまりなかったのですが、フランセのソナタはフランスらしいエスプリの効いた面白い曲でした。そういえば村治佳織はフランスに留学していたんでしたね。
というわけですが、ギターいいなあ、やってみたいなあ。
でもフルートだけでも忙しい現状、練習時間が確保できる自信はないです。ううむ……。

- 関連記事
-
スポンサーサイト