己の意志の弱さと戦いながら細々と小説書いてます、たぶん。

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林原悠

Author:林原悠
林原悠の煩悩世界」管理人

ネットの片隅の小説書き
趣味:フルート、アニメ、ゲーム
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【連載小説】墜落天使レーナ(第26回)

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 昔の生徒が懐かしいのか、のんびりとしたペースながら話を続ける先生の言葉に上の空で応えながら、羽卯はいったいどういうことなのかと考えていた。
 「すぐに連れて行く」という言葉から病院ではなさそうだと取りあえずは安堵した羽卯だったが、ならば当然保健室に行くのだろうと思えば、案内役の先生はどういうわけか階段を上り始めた。保健室は職員室と同じ一階にある。少なくとも八年前まではそうだった。教室のクラス割り当ては年度によって変わるのだろうけれど、保健室の場所は校舎の改築でもしない限り変わるものではあるまい。
 そんなことを考えながら六年生の教室のある四階に到着したところで、羽卯ははっと耳をすませた。あちこちの教室から聞こえてくる授業の喧噪の中に、聞き覚えのある声が混じっていたのだ。間違いなく電話をかけてきた、芽生の担任と名乗った教師の声だった。
 羽卯は声の聞こえた教室のほうへと歩き出していた。おそらく行き着く先が芽生のクラスなのだろう。自然と歩みが速くなる。
「羽卯ちゃん、廊下を走っちゃダメよ。急がなくても時間は大丈夫だから」
 後ろから先生が苦笑混じりにそう言った。八年経ってもまだ羽卯を生徒だと思っているらしい。いや、実際そんなものなのかもしれない。と、ふと先生の言葉の後半部分に疑問を覚えた。「時間」とはいったい何のことだろう?
 それでも芽生の無事が気になって廊下を足早に進んでいく。脇目も振らずに廊下を進んでいくと、芽生の担任教師が授業をしているらしい教室に行き当たった。格子状に木枠のついた廊下側の窓から中を覗くと、まだ若い女性教師が授業をしていた。申し訳なさそうに電話をかけてきたことなど嘘のように、にこやかに張りのある声で話している。
 授業を受けている生徒たちは何となくそわそわしていたが、その理由はすぐにわかった。
 教室の後ろによそ行きらしい服で着飾った大人の女性たち……とわずかな数の男性が並んでいる。どうやら父兄参観らしい。
 更によく教室内をぐるり見渡すと、反対側の窓際の席に芽生が顔を俯けて座っていた。見たところ、どこを怪我している様子もないが、周囲のクラスメイトの雰囲気に比べて明らかに異質な寂しそうな表情だった。
『お父さんもお母さんも出張で家にいないの……』
 その言葉が再び羽卯の耳を掠めた気がして、胸が締めつけられた。
「羽卯ちゃん、遠慮しないで中に入っちゃっていいのよ」
 ようやく追いついてきたかつての担任が、そう言って静かに後ろの引き戸を開けた。教室中の視線が一斉に戸口の羽卯に向かう。ただ一人、肩を落としたままだった芽生も、ワンテンポ遅れてゆっくりと顔を上げてこちらを振り返った。

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