己の意志の弱さと戦いながら細々と小説書いてます、たぶん。

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プロフィール

林原悠

Author:林原悠
林原悠の煩悩世界」管理人

ネットの片隅の小説書き
趣味:フルート、アニメ、ゲーム
オータムリーフ管弦楽団所属

PSO2(IDネーム:林原悠)
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【連載小説】墜落天使レーナ(第19回)

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「で、結局のところ何しに来たのよ?」
 羽卯が不機嫌そうな表情のまま顔を上げて尋ねると、レーナは小さく息をついた。そこに込められていたのは安堵か落胆か。
 芽生は顔を俯けてしばらく迷っている様子だったが、やがて小さな声で呟いた。
「その……お父さんもお母さんも出張で家にいないの……」
「家にお一人だったのですか。それは可哀想なのです。それで寂しくて姉さまの所に来たのですね」
 レーナはそんなことを言いながら慈しむように芽生の頭を撫でている。聖母と言うには少々、というかかなり幼い容姿だが、少なくとも堕天使や悪魔には見えないこと間違いない。本気で一人前の悪魔になるつもりがあるのだろうか。
 羽卯の頭に浮かんだのはそんなどうでもいい心配だけで、すぐに冷ややかに言った。
「いつものことじゃない」
 羽卯の父親は貿易会社を経営していて、頻繁に海外に出張する。芽生の母親は父の秘書をしているから出張に同行することが多い。
 羽卯は震える唇を噛んだ。そうやって、あの二人は母の生きている頃から汚らわしい関係を作り上げていったに違いないのだ。
「それでどうしてうちに来るのよ。今までそんなことなかったじゃない。家には泰代(やすよ)さんが来てくれるんでしょう? 今更何を寂しがることがあるって言うのよ」
 父が再婚して以来、羽卯は家族とめったに口を利かなかった。必要な話もほとんどは家政婦の丸戸(まると)泰代を通して伝えるほどだった。母の存命中から須藤家に通っていて母とも親しかった泰代は、羽卯が信頼している数少ない人物の一人だった。
 そんな状況だったから、いないのと変わらない姉が本当にいなくなったところで、芽生の周囲の環境は何も変わっていないはずなのだ。
 記憶を探ってみても、今ほど長い言葉を芽生にかけたことなどなかったのではないかと思う。それは、羽卯の心まで暗く冷たく閉ざしてしまう拒絶の言葉だったけれど。
「遅くなると泰代さんが心配するわ。そろそろ帰りなさい」
「姉さま、芽生ちゃんは今来たばかりで……」
「レーナは黙ってて!」
 羽卯は鋭く声を上げてレーナの言葉を遮った。それが室内にしばしの沈黙をもたらす。
「……そうだね」
 やがて芽生が俯いたまま呟いた。

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