己の意志の弱さと戦いながら細々と小説書いてます、たぶん。

Prev  «  [ 2017/09 ]   1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  » Next
プロフィール

林原悠

Author:林原悠
林原悠の煩悩世界」管理人

ネットの片隅の小説書き
趣味:フルート、アニメ、ゲーム
オータムリーフ管弦楽団所属

PSO2(IDネーム:林原悠)
●Ship4
 スセリ、ユーイ
 ミコト、オトタチバナ
●Ship3
 レーナ

FF14
●Gungnir
 Huey Chandubois
●Garuda
 Hugh Woodfield

うちの子描いて
Twitter
mixi
外国人参政権反対!

連載小説 一覧

カテゴリー
PR

Flowers夏篇

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSフィード

【連載小説】「鬼さん此方」第9章(その1)

前回分はこちら

 藤崎和水は、自宅の玄関土間に入って後ろ手に引き戸を閉めたところで盛大な溜息をついた。その日の昼の失敗を思い返してしまったのだ。
 ふと思い立って、涼子に教わった料理を実践するべく独りで弁当を作り上げようとしたのだが、やはりまだ無理だったらしい。
 涼子に日頃の感謝の気持ちを伝えたかった和水は、内緒で早起きして台所に向かったのだが、考えが甘かった。欲を出して品数を用意したのも失敗だった。涼子が起き出さないうちに完成させるためにあちらこちらと悪戦苦闘した結果、ろくに味見をする余裕もなかった。
 それにしても、あれほど致命的な味付けミスを、器用にもほぼすべての品目でしでかしているとは自分でも思わなかった。涼子に教えられながら一品一品落ち着いて作るのとはわけが違ったようだ。
 せっかく自分の料理を食べてもらいたかったのに。
 和水はもう一度深い溜息をついた。
 それでも、その時の航太郎の行動を思い出すと顔が綻んでしまうのを止められなかった。
 料理をしたいとは前々から思っていたが、その気持ちを後押ししてくれたのは航太郎だった。航太郎が和水の料理を食べてみたいと言ってくれたから、いつも反対する涼子をどうにか説き伏せて教えてもらうことにしたのだ。
 今日の弁当にしても、航太郎に食べてもらいたいという気持ちが一番強かったことは否定できない。だから、失敗作と知って尚、和水の弁当を口に運んでくれた航太郎の気持ちに胸が熱くなったのだ。
 感想を聞かせてもらうついでに航太郎の味の好みも聞き出すことができたから、それも踏まえてまた涼子に指導を頼むことにしよう。同じ失敗は繰り返さないように。
 思わず笑みがこぼれたところで、廊下の奥からトントンと控えめな足音が聞こえ、質素な和服に着替えた涼子が現れた。同じ学校に通っているというのに、相変わらず下校が早い。
「お嬢様、お帰りになっていたのですか? 気がつかず失礼いたしました」
 靴も脱がずに突っ立っている和水に申し訳なさそうに言った。出迎えを待っていたとでも思われたのだろうか。
「お気になさらないでください。ただ少し今日のことを思い出していただけですから」
 すると、涼子の目が少し細められた。
「また天神航太郎が無礼な真似をいたしましたか?」
 どういうわけか涼子は航太郎のことをよく思っていないらしい。和水のことを心配してくれているのはわかるのだが、正直、もう少し彼を信用してやって欲しいと思うのだ。

次へ

こちらのランキングに参加しています。面白いと思ったら投票お願いします。
NNRランキング

新章は視点を変えてお送りします。
Web拍手

関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

C

omment


T

rackback

この記事のトラックバックURL

http://woodfield.blog21.fc2.com/tb.php/503-2aec363a


あぷろーず!

拍手ボタンです
ショートショートありマス
ブログ検索
カレンダー(月別)
08 ≪│2017/09│≫ 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
リンク
ブログ・日記中心のリンク集
PR


キャラアニ.com

株取引

最近のコメント
最近のトラックバック