己の意志の弱さと戦いながら細々と小説書いてます、たぶん。

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林原悠

Author:林原悠
林原悠の煩悩世界」管理人

ネットの片隅の小説書き
趣味:フルート、アニメ、ゲーム
オータムリーフ管弦楽団所属

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【連載小説】「鬼さん此方」 第4章(その6)

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映画館はこの都市の中心地区にあるとのことだった。航太郎は咲季たちの後について地下鉄に乗り、十分ほどでその地区に到着した。地上に出ると、デパートやオフィスビルの建ち並ぶ繁華街だった。学校の周辺とは大きく趣を異にし、航太郎が生まれ育った町にはない賑やかな場所だった。
「橋本君の奢りはお昼の時間にするとして、ひとまず映画館に向かうわよ」
 橋本の遅刻は最初から想定の範囲内だったらしく、それほど急がなくても上映時間には十分間に合うとのことだったが、ゆっくりお茶を飲んでいる暇まではないようだ。
 咲季の先導でアーケード街を抜けると、七階に映画館の入っているデパートにたどり着いた。
 桂子が観たかった映画というのはフランス映画だった。物語は第二次世界大戦初期、ある男を殺してしまった女優の罪を被ることになった作家志望の青年はパリ陥落のどさくさに紛れて成り行きで脱獄。女優たちが逃れたボルドーへ向かう。そこに脱獄の首謀者や科学者の助手を務める女学生、女優の愛人となった大臣、更にはナチスのスパイなどが加わり、それぞれが時代に翻弄されていく。
 恋愛映画のようでもあり、コメディでもあり、ほんの少しのアクション要素もありと、やや忙しい印象の映画で目が離せなかった。隣の席の和水も食い入るようにスクリーンを見つめているようだった。初めて映画館で観る映画は、どうやら彼女にとっては当たりだったようで、航太郎は何故だかほっとしていた。
 映画のラストは映画館の場面だった。そこで主人公の青年はヒロインとキスをする。そういうシーンに慣れていないのか、隣ではっと息を飲む音がかすかに聞こえた。反射的に航太郎はそちらへ視線を向けた。偶然に目が合った。数秒の間、二人はその場で固まっていたが、同時に顔を背けて前を向いた。流れ始めていたエンドクレジットそっちのけで顔を伏せる。隣の和水も同じ行動を取っているらしい気配があった。
 強引に二人を隣り合わせに座らせた咲季を、航太郎はほんの少しだけ恨んだ。
「面白かったわね」
 場内が明るくなると、咲季が座席から立ち上がって伸びをしながら言った。
「うん、満足満足」
 桂子はいつも以上にふわふわな声で今にもとろけそうだ。きっと表情も同じようなものなのだろう。
「細かいとこはよくわかんなかったけど、面白かったな」
 と橋本。
 そんな中、航太郎は心臓をばくばく言わせながらほうっと佇んでいた。

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