己の意志の弱さと戦いながら細々と小説書いてます、たぶん。

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林原悠

Author:林原悠
林原悠の煩悩世界」管理人

ネットの片隅の小説書き
趣味:フルート、アニメ、ゲーム
オータムリーフ管弦楽団所属

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【連載小説】「鬼さん此方」 第1章(その9)

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「天神君、疲れてるみたいだけど大丈夫?」
 きつねうどんのお揚げを箸で摘みながら咲季が尋ねる。
「転校したばっかで緊張してんのか? 見た目の割にデリケートなんだな」
 橋本が定食の唐揚げを豪快に頬張りながら言う。見た目の話をするなら小柄で細身の橋本こそデリケートそうだ。縁なしの眼鏡が線の細さを更に際だたせていて、神経質そうにさえ見えるところでこの食べっぷりなのだから、世の中はわからない。
「転校くらいで緊張なんてしないよ。そりゃ、前住んでた所に比べると大きい街だから、ちょっと驚いてはいるけどさ」
 航太郎は元々それほど人見知りするほうではない。鬼の生まれとは言っても人間社会に出てくるのが初めてというわけでもないのだ。
 航太郎が生まれた、かつて鬼の村だった地区には中学校までしかなかったため、高校は必然的に少し離れた街中まで通うことになるのだ。その街には、長年の間に村から移住した鬼の血を引いた人間もある程度は住んでいるが、大半は純粋な人間だ。その街の人間たちは身近で鬼が共生していることにはまったく気がついていなかっただろう。鬼斬りなどという物騒な存在も昔話に聞く程度だったのだ。
「天神君はね、お隣さんが美人だから緊張してるのよ」
 またしても咲季が余計なことを言う。恨みがましく視線を向けると、すました顔でずずっとうどんの出汁を啜っていた。
「おおっ、マジで? 転校初日からいきなり藤崎狙いか? さすが、顔のいい奴は目の付け所が違うなあ」
 まったく嫌味のない感心しきった調子だった。それでも、そんなことを食堂のような場所で大声で言わないで欲しいと思うのは航太郎だけだろうか。
「藤崎さんは大変だと思うわよ」
 それまで会話に参加していないかのように炒飯を口に運んでいた中洲桂子がぽつりと呟いた。教室で自己紹介された後に初めて聞いた気がする彼女の声は、のほほんという擬態語が文字になって浮かんできそうにゆったりしていた。咲季や橋本とは違った意味でマイペースな性格のようだ。二人がおしゃべりな分バランスが取れているのかもしれない。ただ、この場合はさすがに言葉が足りない。詳しく聞こうと航太郎が口を開きかけると、それよりも早く咲季の声が響いていた。
「大丈夫なんじゃない? 今日の朝、天神君が席に向かっていく時に見えたんだけど、藤崎さん嬉しそうな顔してたもの。あんな表情は初めて見たわ。意外と面食いなのかもね」
 航太郎は際限なく広がっていきそうな誤解に頭が痛くなった。自分の顔がどうかは置いておいて、和水が嬉しそうに見えたのは、獲物を見つけた肉食獣が舌なめずりをするのと同じなのではないか。

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