己の意志の弱さと戦いながら細々と小説書いてます、たぶん。

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林原悠

Author:林原悠
林原悠の煩悩世界」管理人

ネットの片隅の小説書き
趣味:フルート、アニメ、ゲーム
オータムリーフ管弦楽団所属

PSO2(IDネーム:林原悠)
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【連載小説】「鬼さん此方」 第1章(その5)

前回分はこちら

 表情を目まぐるしく変遷させながら妄想に逃避している航太郎を見て、藤崎和水はクスクスと控えめに笑った。
「ふふふ、面白いお方。以後、何卒よろしくお願いいたします」
 お嬢様、それは逃がさないという意思表示ですか? 隙あらば斬り捨てるってことですか? お願いします、神様。もしも僕の日頃の行いを認めてくださるなら、この人とは別のクラスにしてください。それで余命が劇的に伸びることはないかもしれませんが、少なくとも精神的な重圧は和らぎます。というか、そもそも同じ学年?
 パニック状態に陥った航太郎にできたのは、そう神に祈ることだけだった。

 結論から言えば、神は航太郎を見捨てた。
 職員室で引き会わされた担任の教師に校舎の二階まで案内され、促されるまま教室に入ると、既に着席していた生徒たちのあちこちから男女問わず溜息が漏れた。
 悪かったな、可愛い女の子じゃなくて。そこまで露骨にがっかりすることはないじゃないか。そもそも女の子までがっかりするのはどういうことだ?
 航太郎は心の中でそんな悪態をつきながら教室をぐるりと見渡し、そして表情を凍りつかせた。
 一番後ろの席で、藤崎和水と名乗った朝の少女がふわふわと微笑んでいた。
 その笑顔を見た時には心臓が止まるかと思った。その場で退学届を出そうかと一瞬本気で考えたくらいだ。
 その隣、窓際最後部の特等席が無人なのも看過できない。その主が遅刻か欠席なのだと思いたい航太郎だったが、他の席がすべて埋まっていることを考えればその望みは薄い。
 果たして、担任が航太郎に座るように指示したのはその空席だった。
 目が悪いと主張して席を変えてもらおうかとも思ったが、結局観念した。ちなみに田舎育ちの航太郎の実際の視力は二・五である。
 この世の終わりのような表情でとぼとぼと教室を縦断する間、頭の中には「断頭台への行進」がおどろおどろしく流れていた。しかし、新しいクラスメートたちは単に緊張の表れとでも受け取っているのか、誰一人として気遣いなど見せなかった。
 今なら蛇に睨まれた蛙の気持ちがよくわかる。隣で微笑むお嬢様に斬り殺されるより先に、胃に穴が開きそうだ。
 右隣の席ばかりが気になって他に意識が向かない中、前からつんつんと左肩をつつかれた。理科の実験中に間違って感電したかのようにびくりと体を震わせながら顔を上げると、女の子が目を丸くしてこちらを見ていた。思わず引っ込めたらしい指が中途半端にさまよっている。

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