己の意志の弱さと戦いながら細々と小説書いてます、たぶん。

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林原悠

Author:林原悠
林原悠の煩悩世界」管理人

ネットの片隅の小説書き
趣味:フルート、アニメ、ゲーム
オータムリーフ管弦楽団所属

PSO2(IDネーム:林原悠)
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【連載小説】「鬼さん此方」 第1章(その3)

前回分はこちら

 石段を下りきった少女は航太郎の正面に立った。薙刀を持った右手に緊張はなく、刃は無造作に下ろされていたが、この間合いであれば予備動作なしで一息に航太郎を下段から斬り上げることさえ可能だろう。
 不審な動きを見せれば死が待っている。その恐怖が航太郎から呼吸さえも奪っていく。
 間近で見る少女は、月明かりに誘われた精霊と見紛うほどに美しかった。青ざめて震えている航太郎と対照的に少女の微笑みはどこまでも柔らかい。夜の闇に溶けてしまいそうな漆黒の髪は、露わになったうなじの白さを際だたせている。
 もしも昼間に、何も知らずに出会っていたなら、美形揃いの鬼たちの中で育った航太郎であっても見惚れていたことだろう。
「かような晩には、あまり外を出歩かぬほうがようございますよ。特にあなたのような方は」
 囁くような声音で発せられたその言葉は、航太郎の恐怖を煽るに十分だった。
 こちらの正体を見抜いているという明確な警告。それは次に夜道であったら斬るという意志表示か。いや、もしかしたら既に次などないのかもしれない。
 しばらく少女は航太郎の反応を窺っている様子だったが、何も言葉を返せずにいるうちに痺れを切らしたのか、ゆっくりと肩を引いた。
 やられる、そう感じた航太郎は逃げ出すこともできずに目をつぶった。
 が、恐れていた衝撃はいつまで経っても来ない。薙刀が風を切って迫る音の代わりに聞こえてきたのは、儚げな響きさえ残る少女の声だった。
「では、いずれまた」
 呆気に取られた航太郎がこわごわ目を開けると、少女は背を向けて立ち去っていくところだった。
 その後ろ姿を見送りながら、航太郎はその場にへたへたと座り込んだ。

 思い出しただけでも身震いする。できれば夢であって欲しいとさえ思う。確かに見とれるほどきれいな少女だった。しかし、いくら何でも相手が悪い。鬼斬りの少女など、鬼にとっては天敵に他ならない。あの口ぶりから、航太郎が鬼だということはばれているはずだ。今度会ったら殺される。もう会うことはないと思いたいところだが、同じ街に住んでいる以上、油断はできない。残念だが、警告に従って夜中の散歩は自粛せざるを得ないだろう。
 そんなことを考えながら学校への道を歩いていた航太郎だったが、校門が見えてきたところでほんの少し気持ちを引き締めた。
 何はともあれ初めての転校。せめて気分だけでも颯爽と歩いてみようと思ったのだ。
 しかし、俯き加減だった顔を上げたところで、驚きのあまり足が止まった。

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