己の意志の弱さと戦いながら細々と小説書いてます、たぶん。

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プロフィール

林原悠

Author:林原悠
林原悠の煩悩世界」管理人

ネットの片隅の小説書き
趣味:フルート、アニメ、ゲーム
オータムリーフ管弦楽団所属

PSO2(IDネーム:林原悠)
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【連載小説】「鬼さん此方」 第1章(その1)

 鋭い刃が煌めいたかと思うと、恐怖に立ち尽くす航太郎に向かって振り下ろされ、次の瞬間には左肩から袈裟斬りにする。
「うわあああっ!」
 大声で叫びながら身を起こした。はあはあとせわしなく荒い息を繰り返し、しばらくそのまま額の脂汗も拭わずに焦点の合わない目を虚空に漂わせる。
 呼吸を整えて見回すと、自分がいるのはまだ見慣れない自分の部屋の、新しいベッドの上だった。思わず左肩に手を当て、慌ただしく斜めに滑らせる。自分の体に斬られた傷がないことを確認して安堵のため息をついた。
「最悪だ……」
 天神航太郎は苦々しい口調でそう呟くと、腫れ上がったまぶたの奥の目をどんよりと濁らせたまま、幽鬼のようなおぼつかない足取りでベッドから抜け出した。
 転校初日だというのに寝不足で気分は最悪。壁のフックにハンガーで吊された学生服が視界に映る。転校先に合わせて新しくつけ直した金色のボタンが、今は嫌味に見えた。
 これというのも昨夜のあの出来事で興奮しきった脳が眠ることを拒否してくれたせいだ。明け方にようやく微睡んだかと思えばこの夢見。カーテンと一緒に開け放った窓から吹き込んでくる朝の爽やかな空気の中でさえ、あの光景が脳裏に甦ってくる。
 体が重い。せめてもの救いは家から学校まで徒歩十分程度で到着するということだろう。今まで通っていた田舎の学校は自転車で三十分という距離だったから。

 航太郎の一家は昨日この街に引っ越してきたばかりだった。昼間は差し当たって必要な日用品の荷解きに費やしたが、夜になって満月があまりにきれいだったから近所を散歩してみる気になった。
 なにぶん着いて間もない新しい街だから、よく道を覚えておかないと道に迷うことは間違いない。それでなくても自分に若干方向音痴の傾向があることは十分に自覚しているつもりだった。
 そうして、マンションの近辺をうろうろと彷徨っているうちに差しかかった神社の石段で、航太郎は月明かりを背に佇む薙刀の少女に出会った。
 少女の口が紡いだ「鬼」という単語を耳にしてぞくっとしたのは、鬼という存在に恐怖や神秘を覚えたからではなかった。なにしろ、航太郎自身が鬼の血を引いているのだから。

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