01.23
二月公『声優ラジオのウラオモテ #08』
まずはアニメ化決定おめでとうございます!
ぜひとも原作3巻まではやって欲しいところです。3巻ラストの「ファントム」アフレコシーンは情景が鮮明に浮かぶ神がかった描写故、それをアニメで描ききれるかというクオリティ面の不安はありますが、それはそれ。
さて、最新8巻ですが、ラストのライブシーンはその3巻に並ぶ熱さでした。
本シリーズは基本的に由美子視点で描かれる場面が多いのですが、8巻に関しては千佳視点での進行が多くなっていました。にもかかわらずラストの布石となる千佳の「嘘」については言明されず、由美子が抱える不安の答えを読者も(何らかの意図があるのだろうとは薄々感じつつも)先んじて知らされることなく進みます。
叙述トリックというほど明瞭に仕組まれているわけではありませんが、千佳の心情を一部知っているだけに尚更やきもきさせられることとなりました。
由美子と千佳の関係性も少し変わってきている感じがありますね。由美子の真価を引き出すために嘘をつく、あの千佳がそんな搦め手を取れたのも由美子に対する信頼あってのものです。
今までだと、声優としてはお互いに最大限のリスペクトとライバル意識をバチバチにぶつけ合ってこそいましたが、好意らしきものを露わにすることはなかったと記憶していますが、今巻はセリフでも地の文でもそれらしい記述が増えました。
好きって気持ちをお手軽にぶつけないでほしい……。
(中略)
「あなた、本当にわたしのこと好きよね」
「そりゃねー……」
お風呂で気が緩んでいる場面とは言え、こんな発言がするっと出るわけです。……いや、ナチュラルに一緒にお風呂入ってる時点でだいぶ距離感バグってますからね!?
他にも、
こちらの頬まで緩みそうになったが、堪えた。胸が温かくなるのも見ないふり。(美味しそうにご飯を食べる千佳を見る由美子視点)
由美子のギャル姿は落ち着きを覚えるが、これはこれでかわいいと思う。(パジャマ姿の由美子を見る千佳視点)
など、プライベート面でのストレートな好意が今までになく滲み出ていました。普段のギャルファッションの由美子に対しては何かと憎まれ口を叩く千佳ですが、その実、落ち着きを覚えるほどに馴染んでいたんですね。
私は本シリーズを百合作品と認識していますが、一方でいわゆるガールズラブではないと思ってるんですよね。友情を超えた一対一の強い感情のぶつかり合いではあるけれど、恋愛ではない、と。ただ、今後少し方向性が変わりそうな空気も漂い始めてるなあと感じました。……気のせいかもしれませんが。
今回のラストには次巻への掴みになる引きがありませんでしたが、次はどんな騒動が巻き起こるのか楽しみに待ちたいと思います。
ちなみに今回の「お姉ちゃん」カウンターは5回でした。変化球として「千佳ちゃん」が1回。